- 夏便秘
- 腸活
- 松生先生
夏の水分補給は「腸」に届いている?
気温がぐんぐん上がる夏、私たちはこまめな水分補給を心がけます。「水をたくさん飲めば便秘も解消するはず」と考える方も多いでしょう。しかし実際には「こんなに飲んでいるのに便が硬い」「スムーズに出ない」という声も少なくありません。なぜこうした現象が起きるのでしょうか?それは「飲んだ水のほとんどは腸に届いていない」からなのです。
腸に届く水分はわずか2%
私たちが1日に摂取・分泌する水分は約9Lにものぼります。そのうち約2Lが飲料水などの経口摂取、残りの約7Lは唾液や胃液、胆汁、腸液などの消化液です。しかし、これらの水分のうち、ほとんどは小腸と大腸で吸収され、実際に便として排出される水分はわずか2%未満。つまり、コップ1杯の水を飲んでも、便に届く水分はほんの数滴程度なのです。
しかも夏は、気温上昇によって発汗量が大きく増えます。これにより体内の水分バランスは「イン(摂取)」よりも「アウト(発汗・尿)」に大きく傾き、腸に届く水分量はさらに減少。これが「夏便秘」の大きな原因の一つです。
夏便秘は熱中症のサイン?
猛暑日には水分を2L以上摂っても、ほとんどが吸収・排出されるため、便が硬くなりやすくなります。便秘に加えて、頭痛や全身のだるさなどを感じる場合、それは「熱中症の前兆」である可能性も。排便状況の悪化は、実は体からの危険信号なのです。
また、夏に外出先から帰宅し、冷房の効いた部屋に入った途端に便意が遠のいた経験はありませんか?これは、急激な温度変化によって交感神経が緊張し、腸への血流が減少してしまうためです。特に気温が10℃以上変化した際に顕著になるこの現象は「10℃の法則」とも呼ばれ、排便力の低下、つまり便秘の悪化を引き起こすのです。
オリゴ糖が腸に届ける“うるおい”
こうした状況を改善するカギとなるのが、「水分+腸内環境改善物質」の組み合わせです。単に水分を補うだけでは不十分で、腸内環境を整える成分を一緒に摂取することで、便の水分保持力を高め、排便をスムーズにすることができます。
特におすすめなのが「オリゴ糖」です。オリゴ糖は大腸まで届き、ビフィズス菌などの善玉菌のエサとなり、腸内環境の改善を助けます。また、発酵によって短鎖脂肪酸が生成され、大腸の動きを活発にし、便性を改善する作用も期待できます。
夏を乗り切る水分補給のポイント
・1時間ごとにコップ1杯(200ml)を目安にこまめに水分補給
1日2L以上を目標に。
・水分は冷やしすぎず、常温かぬるま湯で摂取
冷たい水分は腸を冷やし、排便力を下げる可能性あり。
・水分に“腸にうれしい成分”をプラス
オリゴ糖を入れると手軽で効果的。
<おすすめの腸内環境改善物質>
– オリゴ糖(シロップタイプがおすすめ)
– 水溶性食物繊維(果物、海藻など)
– 植物性乳酸菌(ラブレ菌、麹菌を含む甘酒など)
※動物性乳酸菌より生きて腸まで届きやすい
– マグネシウムを含むミネラルウォーター(硬水)
– エキストラバージンオリーブオイル(スープやドリンクに)
夏こそ、オリゴ糖で「腸のオアシス化」を!
夏の便秘は、水分の「摂り方」に工夫を加えることで改善が期待できます。飲んだ水を“腸に届ける”ためには、腸内環境を良好に保つことが必要不可欠。そのためにも、オリゴ糖をはじめとする腸内環境改善物質の摂取がカギとなります。特に猛暑日や気温差が激しい日には、オリゴ糖を上手に取り入れながら、“腸のうるおい”を意識して夏を快適に乗り越えていきましょう。

◇「夏便秘」についてもっと知りたい方へ!
松生式 スーパーペパーミントティーでお腹すっきり
<監修者プロフィール>
松生 恒夫
1955年東京生まれ。医学博士。松生クリニック院長。東京慈恵会医科大学卒業。同大学第三病院内科助手、松島病院大腸肛門病センター診療部長などを経て、2003年、東京都立川市に松生クリニックを開業。6万件以上の大腸内視鏡検査を行ってきた腸疾患治療の第一人者。便秘外来の専門医として地中海式食生活、漢方療法、音楽療法などを取り入れた診療で効果を上げている。著書に『子どもの便秘は今すぐなおせ』(主婦の友社)、『見た目は腸が決める』(光文社)、『「腸の老化」を止める食事術』(青春出版社)、『日本一の長寿県と世界一の長寿村の腸にいい食事」(PHP研究所)など多数。