- 低GI
低GIとは?低GI食品に期待できる効果・おすすめの食べ方も解説
血糖値の急な上昇や体重管理を気にする方に注目されているのが「低GI食品」です。食後の血糖値が急激に上がると、体はインスリンを多く分泌し、脂肪の蓄積や体調不良の原因になることもあります。とはいえ、「どんな食品が低GIなの?」「どれくらい効果があるの?」と疑問を持つ方もいるでしょう。
当記事では、低GIとは何かを説明した後、その効果や具体的な食品例、食べ方の工夫を解説します。毎日の食事選びに取り入れやすい具体策も紹介しているので、健康管理や体づくりに役立てたい方はぜひご覧ください。
1. 低GIとは?
GIとは「Glycemic Index(グリセミック・インデックス)」の略で、食品に含まれる糖質が体内でどれくらいの速さで血糖値を上昇させるかを示す指標です。1981年にカナダ・トロント大学の研究チームによって提唱され、現在では世界中で1,300種類以上の食品にGI値が設定されています。
GI値は、炭水化物を50g含む食品を摂取したときの血糖値の上昇度を基準(ブドウ糖)と比較して数値化したもので、食品ごとに血糖反応の違いを比較できます。一般的に、GI値が70以上は高GI食品、56~69が中GI食品、55以下が低GI食品とされています。GIの値が低いほど、血糖値の上昇は緩やかになりやすいとされており、血糖コントロールを意識する方にとって注目の指標です。
2. 低GI食品に期待できる効果
低GI食品は、血糖値が気になる方や糖質制限ダイエット中の方にとって、無理なく健康的な食生活を続けるための強い味方です。ここでは、低GI食品に期待できる効果を紹介します。
2-1. 血糖値の上昇を穏やかにする
血糖値とは、血液中のブドウ糖(グルコース)の濃度のことで、人間の体にとって重要なエネルギー源です。食事をとると、炭水化物が消化・吸収されてブドウ糖となり、血液中に取り込まれます。このとき血糖値が上昇すると、膵臓から「インスリン」というホルモンが分泌されます。インスリンは、細胞にブドウ糖を取り込ませてエネルギーとして利用させたり、余分な糖をグリコーゲンや脂肪として蓄えたりする働きを担うものです。
これにより血糖値は徐々に下がっていきますが、急激な血糖値の上昇があるとインスリンも大量に分泌され、体に過剰な負担がかかる場合があります。低GI食品は、糖の吸収を緩やかにして血糖値の上昇を抑える効果が期待されており、日常的に取り入れることで血糖コントロールに役立つでしょう。
2-2. 糖尿病の予防をサポートする
糖尿病とは、血液中のブドウ糖(血糖)の濃度が慢性的に高くなる病気です。主に、膵臓から分泌されるインスリンの分泌量が不足したり働きが弱まったりすることで、血糖がうまく細胞に取り込まれず、血液中に残ってしまうことで発症します。糖尿病には、自己免疫疾患などでインスリンがほとんどつくられない1型と、生活習慣の乱れなどが原因でインスリンの働きが悪くなる2型があり、成人の多くは後者です。
血糖値が高い状態が続くと、やがて血管や神経にダメージを与え、合併症を引き起こす恐れがあります。視力障害を招く「糖尿病網膜症」、腎機能が低下する「糖尿病性腎症」、手足のしびれや感覚異常を伴う「糖尿病神経障害」などが代表的な合併症です。糖尿病が進行すると失明や下肢切断に至る場合、透析治療が必要になる場合もあります。こうしたリスクを防ぐには、日頃から血糖コントロールを意識した食生活が欠かせません。低GI食品は、食後血糖値の上昇を緩やかにするとされ、血糖の急激な変動を避けることにつながります。
出典:健康日本21アクション支援システム ~健康づくりサポートネット~「血糖値(けっとうち)」
出典:健康日本21アクション支援システム ~健康づくりサポートネット~「糖尿病(とうにょうびょう)」
出典:健康日本21アクション支援システム ~健康づくりサポートネット~「糖尿病神経障害(とうにょうびょうしんけいしょうがい)」
出典:健康日本21アクション支援システム ~健康づくりサポートネット~「糖尿病網膜症(とうにょうびょうもうまくしょう)」
出典:健康日本21アクション支援システム ~健康づくりサポートネット~「糖尿病性腎症(とうにょうびょうせいじんしょう)」
2-3. セカンドミール効果が起こる
セカンドミール効果とは、1回目の食事(ファーストミール)の内容が、次の食事(セカンドミール)後の血糖値にまで影響を及ぼす現象を指します。この概念は、GIを提唱したジェンキンス博士らが発表したものです。たとえば、朝食の内容によって、昼食後の血糖値の上がり方が変わることが明らかになっています。特に、食物繊維が豊富な大豆、大麦、玄米、全粒粉パンなどを含む低GI食品を朝食に取り入れると、昼食後の血糖値の急上昇を抑える効果があるとされています。
これは、低GI食品が消化・吸収を緩やかにし、腸での糖の取り込みを調整するほか、血糖値を調節するホルモンの分泌を促すためと考えられています。血糖コントロールを意識する方や、日中の血糖値の変動を抑えたい方にとって、セカンドミール効果を活用した低GI食品の取り入れは有効な方法の1つと言えるでしょう。
2-4. ダイエットをサポートする
食事をすると、消化管内で糖質がブドウ糖に変わり、血液中に摂り込まれて血糖値が上がります。この血糖値の上昇を抑えるために分泌されるのが「インスリン」というホルモンです。インスリンは、血中のブドウ糖が各組織の細胞に取り込まれるのを助け、必要なエネルギーとして使わせたり、使い切れなかった糖を一時的に肝臓や筋肉に蓄えたりするほか、脂肪として蓄積する働きも持ちます。そのため、インスリンが過剰に分泌されると、脂肪の合成が促進されやすくなり、体内に余分な脂肪がたまりやすくなります。
特に、血糖値が急激に上がるような食事をとると、体脂肪の蓄積傾向は強まります。低GI食品は、糖の吸収速度が緩やかなため、インスリンの分泌も過剰にならずに、余分な脂肪の蓄積を防ぐことが期待されます。また、インスリンの働きが悪くなる「インスリン抵抗性」のリスクを軽減できる可能性もあるため、健康的な体重管理を目指す方は低GI食品を意識するとよいでしょう。
出典:健康日本21アクション支援システム ~健康づくりサポートネット~「インスリン(いんすりん)」
出典:健康日本21アクション支援システム ~健康づくりサポートネット~「中性脂肪 / トリグリセリド(ちゅうせいしぼう)」
3. 低GI食品の例
GI値が低い食品は、食物繊維が豊富なものが多い傾向にあります。ここでは、身近で取り入れやすい低GI食品の具体例と主な栄養素を紹介します。
3-1. 精白されていない穀類
穀類の中でも、精白されていない玄米や全粒粉のパン、そば、春雨などは、低GI食品として知られています。全粒粉などはいわゆる「全粒穀物」と呼ばれ、穀物の外皮や胚芽を取り除かずにそのまま使用しているため、食物繊維やビタミンB群、ミネラルが豊富に含まれています。こうした栄養成分は、消化吸収を緩やかにし、食後の血糖値の急上昇を抑えるのに役立つとされています。
一方で、白米やうどん、食パン、フランスパンなど、精製度の高い穀類はGI値が高く、糖質が急速に吸収されやすいのが特徴です。主食を選ぶ際は、白米から玄米や麦ごはんへ、食パンから全粒粉パンへと置き換えるだけでも、GI値を下げる食生活に近づけるでしょう。
3-2. 肉類・魚類
赤身の肉や皮を除いた鶏むね肉・ささみは、たんぱく質が豊富で脂肪分が少なく、日常の食事に取り入れやすい低GI食材です。牛肉には鉄や亜鉛などのミネラルが豊富に含まれ、特にヒレやもも肉などの赤身部分は栄養価が高く、余分な脂肪も控えられます。豚肉にはビタミンB1が多く含まれ、糖質代謝を助ける働きがあると言われているため、ご飯やパンなどの主食を多く食べる方に適した食材です。また、鶏肉は全体的に低カロリーで高たんぱくです。
サバやイワシ、サンマなどの青魚も優れた低GI食品です。魚類には、EPA・DHAなどの不飽和脂肪酸が多く含まれています。不飽和脂肪酸は体に蓄積しにくく、血管や心臓への負担も少ないとされています。また、カルシウムやビタミンD、ビタミンB群なども含んでおり、骨や神経の健康維持にも有用です。肉類と魚類をバランスよく取り入れることで、糖質を抑えながら栄養バランスの取れた食生活を実現できるでしょう。
3-3. 豆類
豆類は、炭水化物やたんぱく質、食物繊維、ビタミン・ミネラルをバランスよく含む栄養価の高い食品です。あずきやいんげん豆、レンズ豆、ひよこ豆などは炭水化物が主成分でありながら脂質が少なく、低GIであることが特徴です。大豆は脂質も多く含みますが、良質なたんぱく質が豊富で「畑の肉」とも呼ばれています。
豆類に共通する栄養素は、ビタミンB群やカルシウム、鉄、マグネシウム、亜鉛などです。また、食物繊維が多く含まれていることから、血糖値の上昇を穏やかにし、満腹感を持続させる効果も期待できます。
3-4. 葉物野菜などの野菜類
レタスやほうれん草、小松菜、キャベツ、モロヘイヤ、ブロッコリーなどの葉物野菜は、糖の吸収が穏やかでGI値が低い食品として知られています。葉や茎を食べる葉物野菜は、ビタミンやミネラル、食物繊維が豊富で、健康的な食生活の土台を支える存在です。鉄やカルシウムを多く含むほうれん草や小松菜は、貧血や骨の健康を気にする方におすすめです。キャベツには胃の粘膜を守るビタミンU、モロヘイヤには抗酸化成分のβカロテンが含まれています。また、ブロッコリーはビタミンCの含有量が高く、免疫力の維持にも活用できる野菜です。
葉物野菜は調理の幅が広く、毎日の食事に取り入れやすいため、無理なく続けられる低GI食材と言えるでしょう。大根やかぶ、ピーマンも低GI値食品です。ただし、じゃがいもや里芋、にんじんなど一部の根菜類はGI値が高く、血糖値を上げやすいため摂取量や食べ方に注意が必要です。
3-5. きのこ類
エノキタケやシイタケ、マイタケ、エリンギなどのきのこ類は、糖質が少なく食物繊維が豊富なことから、血糖上昇を緩やかにする働きを持つ低GI食品です。さらに、不溶性食物繊維の一種であるβ-グルカンは、血中コレステロールや免疫力のサポートにも役立ちます。
また、骨の形成に欠かせないビタミンD、代謝を助けるビタミンB群、カリウムやリンなどのミネラル類も含まれており、栄養バランスに優れた食材です。乾燥させることでビタミンDやうま味成分が増える種類もあり、調理法次第で栄養効率を高めることも可能です。
3-6. 海藻類
海藻類は低GI食品として知られ、ひじき・昆布・もずく・青のりなどが代表的です。海藻類には、水溶性と不溶性の両方の食物繊維が含まれており、特にフコイダンやアルギン酸などの海藻特有の成分は、腸内環境を整える働きが期待されています。さらに、カルシウム・マグネシウム・鉄・カリウム・ヨウ素といったミネラルも豊富で、体の調子を整える栄養補給源として優れています。
海藻類は小鉢1杯分で食物繊維の1日の目標摂取量の約10%をカバーできると言われている点もポイントです。海藻類に高GI食品はほとんどないため、毎日の食事に少量を取り入れるだけでも、バランスの取れた栄養補給に役立つでしょう。ただし、海藻類の多量摂取によりヨウ素を過剰に摂取すると、甲状腺機能低下症や亢進症などを引き起こす恐れがあるため、注意が必要です。
3-7. 乳製品
乳製品は、牛乳・ヨーグルト・チーズ・バターなどが低GI食品に分類されます。牛乳には、たんぱく質・脂質・炭水化物の3大栄養素に加え、カルシウムやビタミンB群などのミネラル・ビタミンもバランスよく含まれています。ヨーグルトやチーズは発酵によって消化吸収がよく、腸内環境のサポートにも適しています。
一方で、乳製品の中でもバターは脂質が多く、エネルギー量が高いため、摂取量には注意が必要です。また、乳製品の中でも練乳などは砂糖や脂質が多く含まれており、高GI食品として血糖値への影響が大きくなる傾向にあります。
3-8. 果物類
果物類では、りんご・いちご・みかん・グレープフルーツなどが低GI食品として挙げられます。果物に豊富なビタミンCは抗酸化作用や鉄の吸収促進、ストレスへの抵抗力向上などの働きが期待できますが、加熱によって失われやすいため、生のまま摂取できる果物は理想的です。また、果物に含まれる水溶性・不溶性の食物繊維は整腸や血糖値の上昇抑制に寄与し、カリウムは体内の余分なナトリウム排出を助けます。
ただし、ジャム・缶詰などは高GI食品で、加工や糖分添加により血糖値を急上昇させやすいため、食べ過ぎには要注意です。低GIを意識するなら生の果物を選び、栄養バランスを整える一品として取り入れるとよいでしょう。
4. GI値が高い食品は?
GI値が高い食品は、白米やうどん、パン、じゃがいもなどが代表的です。そのほかにも、キャラメル・チョコレート・クッキー・ホットケーキ・ショートケーキ・ドーナツ・せんべい・ポテトチップス・餅など、砂糖や精製された小麦粉、でんぷんを多く含むものも、GI値が高い食品として挙げられます。デザートやスナック類は血糖値を急激に上げやすく、とりすぎると体への負担になる可能性があるため、食べる量やタイミングに注意が必要です。
甘いものがほしいときには、血糖値への影響が少なく、おなかの調子も整えてくれる「オリゴ糖」を活用するのも一案です。オリゴ糖はビフィズス菌を増やし、腸内環境を整える効果が期待できる上、砂糖と比べると低カロリーです。毎日の食事に気軽にオリゴ糖を取り入れたいときは「オリゴのおかげ」がおすすめです。シロップタイプの甘味料なので、コーヒーやヨーグルトはもちろん、砂糖代わりとして料理に使うこともできます。
4-1. 高GI食品ばかりを食べる影響
高GI値の食品ばかりを摂取し続けて、血糖コントロールが乱れると、体にさまざまな悪影響を及ぼす恐れがあります。以下に、代表的なリスクとその仕組みを解説します。
- 血糖値の急上昇・急降下が起こる
高GI食品は消化・吸収が速いため、摂取直後に血糖値が急激に上がります。その結果、インスリンが大量に分泌され、今度は血糖値が急降下することにより、空腹感や疲労感、集中力の低下などの不調を引き起こす可能性があります。 - 糖尿病や肥満のリスクが高まる
血糖値が急上昇するたびにインスリンが大量に分泌されると、糖は脂肪として蓄積されます。さらに、インスリンの過剰分泌が続くと、分泌機能の低下や効きにくくなる状態(インスリン抵抗性)を招き、糖尿病リスクも高まると考えられています。 - 血糖値の乱高下により空腹を感じやすくなる
急激に下がった血糖値は、身体に「エネルギーが足りない」という誤ったサインを出すことがあります。その結果、実際には満たされているのに空腹感が強まり、過食につながる可能性があります。
5. 低GIに関するQ&A
低GI食品に関するよくある疑問をQ&A形式でまとめました。日々の食事選びや健康管理に役立てたい方は、ぜひチェックしてみてください。
5-1. 低GI=低カロリーだからいっぱい食べてもいい?
GI値とカロリーは、どちらも食事と健康管理に関わる指標ですが、まったく別の概念です。そのため、「低GI食品=低カロリー食品」と思い込んでしまうと、誤った食生活につながる可能性があります。
GI値とは、主に炭水化物に注目し、ある食品を食べた後に血糖値がどれだけ早く、どれくらい上昇するかを数値化したものです。一方のカロリーは、食品に含まれるたんぱく質・脂質・炭水化物などの栄養素が体内でエネルギーとして使われる量を表しています。ここで重要なのは、カロリーとGI値はそれぞれ異なる視点からの指標であり、連動していないという点です。たとえば、ナッツ類は低GI食品に分類されますが、脂質が多く高カロリーです。
そのため、「GI値が低い食品ならいくら食べても太らない」と考えて、カロリーを意識せずに低GI食品を大量に食べると、かえってカロリーオーバーになる場合があります。反対に、高GI食品でも食べ方や組み合わせを工夫することで、血糖値の急上昇を抑えることが可能です。したがって、GI値だけに注目するのではなく、栄養バランスやカロリーなども踏まえ、無理のない範囲で食事を組み立てることが大切です。
5-2. 低GIと低糖質は何が違う?
低糖質と低GIはどちらも血糖値に関係する言葉ですが、その意味やアプローチは異なります。低糖質はその名の通り、糖質の「量」が少ない食品のことです。糖質は体のエネルギー源として重要ですが、とりすぎると血糖値が急上昇し、余った糖が脂肪として蓄積されやすくなります。そのため、糖質制限による低糖質な食事は、ダイエットや生活習慣病の予防に効果的とされています。
一方で低GIは、食品に含まれる糖質が体に吸収されるスピード、つまり血糖値の上がり方が緩やかかどうかを示す指標です。糖質量が多くても、食物繊維が豊富だったり、消化に時間がかかったりする食品は、GI値が低くなります。たとえば、りんごは糖質が比較的多い果物ですが、GI値は低いです。
つまり、「低糖質」は糖質の量を減少させることに重点を置いた考え方、「低GI」は同じ糖質をとっても血糖値がどう変動するかに注目した考え方です。両者は似ているものの厳密には違う概念なので、目的によって使い分ける必要があります。血糖値の急変動を抑えたいなら「低GI」を、糖質自体を控えたいなら「低糖質」を意識するとよいでしょう。
5-3. コンビニや外食の際にGI値を抑えるには?
コンビニや外食を活用する機会が多い場合でも、GI値を意識して食事を選ぶことで、血糖値の急上昇を防ぎ、健康的な体づくりをサポートできます。たとえば、コンビニで買う主食は、白米やパンよりも、玄米や全粒粉のパンなどを選ぶとよいでしょう。惣菜は、野菜中心のサラダや煮物を選び、揚げ物やホットスナックはGI値が高い傾向にあるため、できるだけ控えます。スイーツを買うなら、ヨーグルトなどGI値が比較的低いものを選びましょう。
外食では、定食スタイルのメニューがおすすめです。刺身定食や焼き魚定食は、主食・副菜・汁物のバランスがよく、血糖値の安定にもつながります。ファミリーレストランでは、和風ハンバーグ、きのこたっぷりの和風パスタなど、野菜や食物繊維が豊富なメニューを注文するとよいでしょう。居酒屋では枝豆やサラダ、焼き魚などを中心に選び、フライドポテトや揚げ物などの高GIメニューは控えめにすると安心です。最近は糖質オフを意識した商品も多数販売されています。
5-4. 血糖値を気にする場合は間食は食べないほうがよい?
「血糖値が気になるから間食は控えたほうがよい」と考えがちですが、間食をうまく取り入れると、血糖値の改善や過食防止に役立つこともあります。空腹時間が長くなると、次の食事で血糖値が急上昇しやすくなるため、間食で空腹を和らげるのは有効です。適度な間食はストレスを減らし、健康的な食習慣の継続にもつながります。
ただし、選ぶ食品には注意が必要です。糖類や脂質の多い食品ではなく、低GI食品を取り入れるとよいでしょう。たとえば、ヨーグルトやチーズ、ゆで卵、豆腐スイーツ、糖質を抑えたビスケットなどが向いています。これらは血糖値の上昇が緩やかで腹持ちもよく、間食に適しています。また、夕食を軽めに済ませるための「つなぎ」としても効果的です。
どうしても甘いものが食べたいときは、「オリゴ糖」を使った甘味料を活用するのも1つの方法です。オリゴ糖は砂糖に比べてカロリーが低く、血糖値に影響しにくいという特徴があります。さらに、腸内のビフィズス菌のエサになって腸内環境を整える効果も期待できます。
5-5. オリゴ糖のGI値はどれくらい?
オリゴ糖は、一般的に砂糖に比べてGI値が低いとされており、血糖値の急上昇を抑えたい方に適した甘味料です。砂糖は摂取後に血糖値を比較的早く上昇させるのに対し、オリゴ糖は消化吸収されにくく、大腸まで届いてビフィズス菌のエサとなる特性があります。そのため、腸内環境を整えながら血糖値のコントロールにも役立つとされています。甘いものが我慢できない方でも、オリゴ糖を使った甘味料を上手に活用すれば、健康的な間食をとることができます。
「オリゴのおかげ」はシロップタイプの甘味料なので、コーヒーや紅茶に入れたり、ヨーグルトにかけたりと日常の食事に取り入れやすい点が魅力です。クセのない自然な甘さで、カロリーは砂糖に比べて40%オフです。血糖値を気にされている方はもちろん、小さな子どもに優しい甘さの間食を食べさせてあげたいときにも、「オリゴのおかげ」を使うことができます。
6. 低GIを生かした血糖コントロールの実践法
低GI食品を上手に取り入れると、血糖値の急上昇を防ぎ、健康的な食生活につなげることができます。ここでは、日常の食事に低GIの考え方を生かす具体的な方法を紹介します。
6-1. 主食や間食を低GI食品に置き換える
食事に低GI食品を取り入れる方法としては、主食や間食を置き換える方法が簡単です。たとえば、「白米を玄米や麦ごはんに変える」「食パンではなくライ麦パンや全粒粉パンを選ぶ」といった工夫が挙げられます。低GI食品は血糖値の上昇が穏やかで、エネルギーとしてゆっくり使われるため、体に負担をかけにくいとされています。
また、間食ではチョコレート類やスナック菓子ではなく、ナッツやプレーンヨーグルト、果物、プロテインバーなどの低GI食品を選ぶとよいでしょう。腹持ちがよい食品は、空腹感のコントロールにも役立ちます。ただし、低GI食品は「量」も大切なので、カロリーオーバーにならないよう適量を意識して取り入れることがポイントです。
6-2. 低GI食品や野菜から食べ始める
食後の血糖値を穏やかに保つには、食事の内容だけでなく「食べる順番」にも意識を向ける必要があります。特に、最初に低GI食品や野菜など食物繊維を多く含むものから食べ始めることで、糖質の吸収が緩やかになり、血糖値の急上昇を防ぐ効果が期待できます。理想的な食べる順番は、「野菜・きのこ・海藻類」→「たんぱく質(肉・魚・卵・大豆製品)」→「糖質(ご飯・パン・麺)」の順です。
たとえば、和定食を食べるなら最初にひじきの煮物やほうれん草のお浸しから食べ始め、次に焼き魚や冷奴、最後にご飯をゆっくりと食べるイメージです。コンビニ食や外食でも、まずはサラダや野菜の惣菜から口にしてみるとよいでしょう。
6-3. 酸味のある食品を取り入れる
酢やレモン汁に含まれる酢酸やクエン酸には、糖の吸収を緩やかにし、食後の血糖値上昇を抑える働きがあるとされています。さらに、お酢を使うことで塩分控えめでも満足感のある味付けになり、減塩効果も期待できます。酢を使う食品にはピクルスが挙げられます。もずく酢やわかめの酢の物など、海藻類を合わせると、水溶性食物繊維も効率的に摂取することが可能です。
また、サラダにレモン汁をかける、鶏の唐揚げにレモンを添えるなど、普段の料理に少し酸味をプラスするだけでも効果的です。簡単に取り入れられるので、毎日の食事に酸味を加えることを意識してみましょう。
6-4. 1日3食を等間隔になるよう食べる
血糖値を安定させるためには、1日3食をできるだけ等間隔で規則正しく食べることも大切です。たとえ1日の摂取エネルギーが同じでも、朝食や昼食を抜いた後にまとめて食べる方法では、血糖値は急激に上昇しやすくなります。
また、食事と食事の間隔が空きすぎると空腹感が強まり、過食や早食いで血糖値が乱れやすくなります。できるだけ3食を同じ時間帯にとるよう意識し、朝・昼・晩を3:4:3または3:3:4のバランスで配分するのが理想的です。夕方以降まで空腹が続いてしまう場合は、低GIの間食を少量取り入れると、夕食の過食を防ぎ、血糖値の安定にもつながります。
6-5. よく噛んでゆっくりと食べる
噛む回数を増やしてゆっくり時間をかけて食べることで、炭水化物の吸収速度が緩やかになり、同じ食べ物でも血糖値の上昇を抑えられます。反対に、すりおろしたり粉状にしたりした食材や、液体タイプの食品は吸収が速くなり、血糖値が上がりやすくなるため注意が必要です。
よく噛むことには、満腹中枢を刺激して食べ過ぎを防ぐほか、食欲をコントロールするホルモンの作用によって過剰なインスリン分泌が抑制されるというメリットがあります。また、濃い味付けでなくても満足感が得られ、薄味・適量で満足できる食習慣が身につきます。テレビやスマホを見ながらではなく、食事に集中する環境をつくり、1口ごとに箸を置いて30回程度を目安に噛むように意識するとよいでしょう。
まとめ
低GI食品は、血糖値の急激な変動を抑え、糖尿病予防や体重管理にも役立つ食品です。精白されていない穀類や肉類・魚類、豆類、葉物野菜、きのこ、海藻類、乳製品、果物の一部など、身近な食材に低GI食品は多くあり、食生活に無理なく取り入れられます。
ただし、低GIだからといってカロリーを気にせず大量に摂取すれば、逆効果になることもあるため注意が必要です。「食べる順番」や「よく噛む」などの工夫と合わせ、低GI食品を効果的に活用しましょう。

<プロフィール>
加勢田 千尋
一般社団法人日本腸内環境食育推進協会代表理事、管理栄養士。病院・企業にて7000人以上の栄養指導・食事アドバイスを行う。独立後、腸に特化した食育講座『腸の学校®』を監修•運営する。自身も幼い頃からアトピーや腸の不調に悩まされ続け、腸内環境を整える食事法により便秘やアトピーなどの不調を3カ月で卒業。 現在は薬やサプリメントに頼らないずぼら腸活を伝えている。